実施期間: 2023年10月~2024年9月
実施方法: 毎月2回日曜日の13:00~18:00、LINE / ZOOMの3者通話による相談(予約制)
その他、Facebook,LINEへの上記相談日以外の相談には随時対応
対応言語: ベトナム語、インドネシア語、フィリピノ語、日本語
相談総数: 296件(ベトナム語230件、インドネシア語31件、フィリピノ語30件、日本語5件)
★相談者の国籍 ベトナム 234 インドネシア 32 フィリピン 30
★相談者の性別 女性 115 男性 181
★相談者の住所地 関西 89 関東 54 中部 41
★相談者の在留資格 技能実習 141 技術・人文知識・国際業務 63 特定技能 56
★相談内容 労働 213 在留資格 102
相談内容から:
●技能実習生からの「解雇」相談が多数を占めた。目立ったのは、受入れ会社が解雇の通知をしないまま、在留期限になっても在留資格変更・更新の手続きをせず、実習生が帰国せざるをえなくなる方法で実質的な「解雇」を行うケースである。監理団体も次の受入れ会社を探そうとしない。このような事例に対し、外国人技能実習機構(OTIT)は会社を指導しようとはせず、労働基準監督署は、「通知がないなら解雇ではない」「在留資格の申請は外国人本人ができるはず」と、会社の協力なしには在留資格の申請ができない実習生たちの実態への理解がまったくない対応に終始する有様であった。
●実習生からは、日本人従業員からのパワハラ、暴行を訴える相談が少なくなく、同じ実習生間の人間関係のトラブルを訴える相談も寄せられた。トラブルの背景には、狭く劣悪な住環境が影響していると思われる事例もあった。受入れ会社が、実習生に安心して気持ちよく働いてもらえるような住環境の整備や、共に働く日本人従業員の意識変革に努力すべきと思わされた。
●労災の補償や失業手当受給の手続きに関する相談もあったが、技能実習生の場合は本来監理団体がサポートすべきである。残念ながら、監理団体から何の支援も受けられず、当然に受けられる補償を受けていない実習生が少なからずいることが明らかになった。
●労災治療中や、妊娠・出産、療養が必要な病気で長期間働くことができなくなった実習生に対し、会社、監理団体が一時帰国をすることを勧め、実習の再開を約束したにもかかわらず、再来日を拒んでいるという相談も数件あった。いずれの事例も、日本に滞在して労災の休業補償や、出産手当金、傷病手当金を受給しながら、実習の再開を待つことが可能であるし、帰国したとしても、従業員の地位を残した状態でこれらの補償は受けられるはずである。しかし、誰一人としてそのような選択肢があることを説明されてはおらず、帰国にあたって退職手続きをさせられてしまっていた。
●技能実習、特定技能1号の労働者から他の在留資格への変更に関する相談も多かった。日本で生活するなかで様々な状況の変化、とくに結婚など家族関係の変化に伴い、在留資格を就労によるものから家族関係に基づくものに変えたいという希望が少なくない。技術・人文知識・国際業務などの在留資格の場合は、配偶者と子どもに家族滞在の在留資格が認められるが、技能実習、特定技能1号では認められない。在留資格制度が外国人の生活実態に合ったものとなっていないことが問題である。
●特定技能1号、技術・人文知識・国際業務の労働者から、来日後の労働条件が約束と違っていた、来日後まったく仕事がなく、雇用関係のない会社で働くことを強要されたという相談が相次いでいる。送り出し国と日本にブローカーがいて、外国人労働者を日本に連れてくること自体で利益をあげており、来日後は労働者を放置、仕事がないため別の会社に転職しようとした労働者から、退職手続きに際し20万円支払わせたというひどいケースもあった。
支援によって解決した事例:
▶相談者は技能実習の途中で解雇され、次の転籍先と雇用契約を結んで在留資格の変更手続きがされるのを待っていた。しかし、監理団体がOTITへの技能実習計画の提出を行わず、在留期限がせまってきて帰国を示唆された。RINKがOTITに申告し、OTITが監理団体に対し指導を行ったことで、無事手続きが行われ、相談者は技能実習を継続することができた。
▶日本語ができない、仕事が遅いという理由や、労災による怪我の治療中で以前のように働けないことを理由に解雇されそうになった実習生の事例では、各実習生が労組に加入、会社との交渉を通じて解雇はなくなった。
▶妊娠した実習生、特定技能の労働者から、産前産後休暇、育児休業を取得し、その後継続して働きたいという相談が数件あった。労組に加入し会社と団体交渉を行ったケースでは、すべて会社が労働者の希望を受け入れ、在留資格の更新にも協力した。
▶実習生の失業手当受給手続きに同行し、ハローワークの職員の「実習生は、自己都合退職の場合、失業手当が受給できない」という間違った対応に対し、抗議して誤りを認めさせた。
▶相談者は日本の会社と雇用契約を結び、技術・人文知識・国際業務の在留資格認定証明書交付申請の許可がおりるのを待っていたが、結果がなかなか出ないという相談があった。委任状を送ってもらい、入管局で情報開示の請求を行ったところ、申請が会社によって取り下げられていたことがわかった。仲介を頼んだ送り出し機関からは何の説明もされていなかった。不許可ではなく取り下げられたという事実が判明したことで、相談者はあらたに別の会社と契約して申請をし直すことができるようになった。
▶特定技能労働者から、住んでいたマンションの退去時のクリーニング代について相談があった。入居時にクリーニング代を前払いしていたはずなのに、退去時にマンションの契約者だった会社から請求されて支払った、間違いではないかと退職後何回も会社の担当者に連絡したが取りあってもらえないとのことであった。RINKが会社に調査を依頼したところ、会社の確認ミスだったことがわかり、二重払いになっていたクリーニング代が相談者に返金された。会社はRINKの介入以前にきちんと対応すべきであった。