オンライン相談(2025年2月~2025年5月)の報告

2025年2月 21 件(ベトナム語8件、インドネシア語4件、フィリピン語3件、クメール語6件)

2025年3月  22 件(ベトナム語10件、インドネシア語1件、フィリピン語3件、クメール語8件)

2025年4月 17 件(ベトナム語16件、インドネシア語1件)

2025年5月 17 件(ベトナム語10件、インドネシア語1件、フィリピン語2件、クメール語2件、英語1件、日本語1件)


4ヶ月の合計 77 件

相談者の国籍:ベトナム 44、インドネシア 7、フィリピン 8、カンボジア 17、不明 1

相談者の性別:女性 37、男性 39、不明 1

相談者の住所地:関西 29、関東 18、九州 7、中部 6 など

相談者の在留資格:技能実習 22、特定技能 24、技術・人文知識・国際業務 10など

相談内容:労働 53、在留資格 21 など


【相談事例から】

● 一緒に暮らしている技能実習生4人が喧嘩をして、そのうち一人が皆からいじめられているというメールを監理団体に送ったことがきっかけで、4人全員が会社から解雇を言い渡され、自分から退職して帰国することに同意させられてしまった。4人とも帰国したくはなく、転職を希望しているが、すでに帰国チケットを取ったという連絡がきている。役所に行って住所をなくす手続きもすると言われている。

 ⇒ 地元の労働組合に連絡し、相談者とRINKの三者でオンライン相談を行った。翌日労組が技能実習機構の地方事務所に状況を報告し、地方事務所が監理団体を指導した結果、解雇は撤回され4人はこれまで通り働けることになった。職場と宿舎の狭い生活範囲で長期間生活をともにする実習生の間では、人間関係のトラブルが起きやすい。今回は、地元の労組が普段から機構の地方事務所と連携していたこともあり、素早い対応で問題を解決することができた。

● 技能実習3年目のときに妊娠がわかった。会社は仕事についても配慮してくれていて、相談者は日本で出産したかったが、監理団体に説得され、出産後再来日させるという約束を信じて帰国した。無事出産したが、在留期限は過ぎてしまったので、再来日には在留資格認定証明書の手続きをしなければならない。何度も監理団体に連絡をしたが、今は人手が足りているので、手続きを進めることはできないと言われてしまった。約束についてはメッセージのやり取りの記録が残っている。

 ← 会社、監理団体の口頭での約束を信じて帰国し、出産後来日を拒まれているケースは少なくない。

● 妊娠中で体調を崩したため、会社から1週間以上休業を強いられた。その後働けるようになったが、登録支援機関が相談者に、「会社が妊娠のサポートをしないことに同意する」という文書を書かせ、それを会社に提示することで就労を認めさせたことがわかった。

 ⇒ 特定技能1号の相談者は労働組合に加入していたが、会社には通告していなかった。今回の件を受けて、労組が会社に妊娠中の相談者に対して法律通り適切な配慮などをするよう要求。団体交渉を申し入れ、会社は今後法律に則った対応をすると回答した。登録支援機関の労働法違反の対応は問題である。

● 介護の特定技能1号。無断欠勤などを理由に解雇予告通知を受け取った。その後解雇日前に、日本語だけで書かれた何かの書類にサインをしたが、退職届だった可能性がある。施設からもらった離職票には会社都合(解雇)ではなく、自己都合退職したことになっていた。雇用保険は8ヶ月しかかけていないので、自己都合だと失業手当をもらうことができない。現在所持金が1,000円くらいしかなく、来月の家賃が払えない。

 ⇒ 地元の社会福祉協議会に生活困窮者自立支援制度が利用できないか相談に行ったが、特定技能の外国人には食料の提供以外にできる支援がないと言われた。ハローワークに自己都合退職ではなく、もともと解雇であったことを訴えて、失業手当の受給ができないか相談に行くことを提案したが、相談者自身が2度も相談に行ってできないと言われていたため、あきらめることになった。よくわからない書類には絶対にサインしないことが大事である。

● ベトナムの経済大学と日本の斡旋会社との1年間のインターンシッププログラムで来日、運送会社と雇用契約を結び働いている。専攻は流通なので働きながら学ぶというプログラムになっているが、ベトナムでプログラムに関する契約書は何もなく、日本で1年間働いて問題なく帰国すれば、その後その会社で特定技能で働けると聞かされ、20万円支払わされた。実際にしている仕事は、会社の倉庫でラベル貼り、出庫する品物をパレットに積むなど。給料は雇用契約書通りに支払われている。最近仕事に向いていないという理由で解雇され帰国するよう言われた。送り出し機関に相談したところ、帰国すればまた日本に行けるよう何とかする、あるいは在留期限まで別のところで働いて帰国したらどうかと言われた。この送り出し機関は偽造書類などたくさん違法なことをしていると評判のところである。会社には別の部署に行かせてくれるよう頼んだが拒否された。解雇と言われているが、通知などは何もない。

 ← このようなインターンシッププログラムで1年間日本で働かせ、特定技能1号につなげることをうたった受け入れが増えているようだ。

● 特定技能1号。ブローカーに誘われ、移動すれば2日で働けると言われて、それまで働いていた会社を離れたが、実際には働き始めるまで5ヶ月くらいかかった。その間居住していた登録支援機関の寮の家賃や光熱費と、仕事の紹介料を合わせて、登録支援機関から35万円借金したことになり、今毎月の給料から4万円を控除されているため、生活が苦しい。

 ← 転職の際、ブローカー、登録支援機関に紹介料を支払わされている特定技能1号労働者は多い。ハローワークなどを通して転籍先を見つけることが簡単ではない現状の反映でもある。

● 特定技能1号。前の会社を退職したときに、それまで振り込みだった給料が、最後の月は現金手渡しで、違約金と15万円を引かれた。違約金の契約には覚えがなく、カンボジアのブローカーに渡すお金15万円をなぜ会社が控除するのか納得がいかない。不当な控除なので取り返したい。

 ⇒ RINKがサポートして会社を管轄する労基署に、郵送で賃金の全額払いを定めている労基法24条違反の申告を行った。監督官は会社を調査したが、会社は相談者が給料を受け取ったとサインした領収書を提示。いったん給料を全額支払い、相談者の同意の上で経費を受け取ったと弁明した。15万円についても登録支援機関がすでに立て替えて支払い済の金銭であると説明したため、監督官は違法の事実を認定できない結果となった。

● 特定技能1号で働いていた会社を辞めさせられた。退職届にサインするように言われたが、サインしなかったため失踪したことになると言われた。今は会社を離れて就職活動を行っている。会社の言うことは正しいのか。

 ← 特定技能労働者を解雇するときは、受け入れ会社は予告した時点で入管局に届出をし、経緯に関する説明書を提出する必要がある。会社の事情による退職が多いと、受け入れに問題があると判断される可能性もあるので、解雇であっても会社はできるだけ労働者の自己退職にしようとする。そのためにこの事例のように嘘までついて退職届にサインさせようとするのである。

● 特定技能1号。工場で左手親指の先の骨が割れるけがをした。病院に付き添った会社の担当者は、医師に労災保険は使わないと伝え、相談者に対し後輩に仕事を教えるだけでいいので、休まずに出勤するようにと言った。しかし、医師からは安静にするよう指示があったので、相談者はそれ以降仕事には行っていない。相談者は休業補償の手続きをしてほしいと会社に要求したが、はっきりした返事がなく、医師にはまず会社から労災保険を使うという連絡がほしいと言われてしまった。登録支援機関の通訳者から、相談者が病院に行ったときに社長に電話すれば、社長が医師に労災保険を使うことを伝えるという連絡がきたが、社長を信じられない。

 ⇒ 最終的に会社は休業補償の手続きを行った。相談者は社長とLINEで日本語のメッセージのやり取りをしていたが、それを確認すると、通訳者が双方の話を正確に通訳していないと思われる点が多々あった。そのために双方に不信感が生まれた可能性は否定できない。

● 技能実習生。肉をラップで包装する仕事をしていて、左手の小指と薬指の骨を折るけがをした。会社に対して補償を求めることができるか。ラップの引き出しに異常があり直そうとして機械に手をはさんでしまった。休業補償はもらっているが、金額が少ない気がしている。

 ⇒ 相談者の会社では技能実習生が500人以上働いているが、労務管理をすべて監理団体に任せていて、労災保険の手続きをよく知らない通訳者が手続きのサポートを行っている。休業補償が少なかったのは、2か所の病院で休業の証明を取る必要があったのに、1か所でしか取っていなかったからである。相談者は労働組合に加入し、今後は会社と直接話し合いながら、必要な手続きをしていくことになった。

● 技能実習生。労災で治療中だったが、症状固定ということで医師の診断書が届く予定である。その後労災の障害補償を請求したいので手続きを教えてほしい。休業補償はされているが、監理団体の通訳者が障害補償の手続きは自分でするものだと言っているので、心配している。技能実習満期の在留期限が迫っており帰国する予定なので、手続きが間に合うかどうかも問題である。

 ⇒ RINKの相談員が障害補償給付支給申請書の記入などをサポートし、労働基準監督署に提出後、担当の監督官と連絡をとって、労基署による障害に関する聞き取りを早めに行うよう要請した。相談者の帰国前にすべての手続きが終わるように支援を行っている。労災の障害補償請求については、この事例のように会社、監理団体が支援をしないことが多いようだ。

● 来日10ヶ月の技能実習生。先輩の実習生との人間関係のトラブルで、自分だけが会社の部長から始末書を書けと言われている。先輩の悪口を言ったという事実無根のことや、寮に男性を連れてきたこと等が書かれていて、今後ウソをついたことがわかったり、規則を守らなかったりしたら、帰国に同意するとも書かれている。この書類へのサインは拒否したが、部長はサインしないと在留期間更新をしないとも言った。自分はサインしたくないし、この会社でも働きたくない。監理団体には相談したが、実習生は会社が倒産したりしない限り転籍できないと言われた。どうすればいいか。もし自分で新たに雇用してくれる会社を見つけたら転職できるか。

 ←「実習生は会社が倒産したりしない限り転籍できない」という監理団体の話は事実ではない。相談者は技能実習の基礎級試験には合格しているとのことなので、今の会社が更新手続きを拒んでも、相談者が技能実習を継続する意思がある限り、監理団体には新しい会社を探す責任がある。技能実習生の転籍先は監理団体が探すのが基本だが、自分で見つけた場合で、監理団体同士、送り出し機関の合意によって転籍が実現した事例もある。

● 外食の特定技能1号。労働条件も不明であり、来月からは同じ会社で昼間は廃棄物処理の仕事をし、夜は飲食店で働くことになっている。こんな会社なので転職をしたいが、3ヶ月は働かないと転職はできないという。登録支援機関も会社に迎合し、問題を解決しようとしない。

 ←「3ヶ月は働かないと転職はできない」という話は嘘である。会社も登録支援機関も入管法上の規定を守る意識がまったくない。このような会社は早く辞める方がよい。

● 妻は5ヵ月後にベトナムで出産する予定で、あと3ヶ月くらいで帰国する。妻の在留資格は家族滞在だが、出産前後で在留期限が切れる。技術・人文知識・国際業務の相談者の在留期限もほぼ同時期である。入管局に相談したら、事情があれば在留期限の3ヶ月より前に申請を受け付けると言われた。しかし、相談者の雇用契約が更新されるかが微妙なので、妻の帰国前に更新手続きはできないかもしれない。妻は相談者の健康保険の被扶養者になっているが、会社に確認したところ、帰国後在留資格がなくなれば住民票が削除され、健康保険の被扶養者からもはずされるため、出産育児一時金は受け取れないと言われた。

 ⇒ 健康保険の被扶養者には日本国内居住要件があるが、例外として日本に生活の基礎がある一時的な海外渡航者であれば、住民票がなくても被扶養者として認められるとされている。このケースはこの例外規定に当てはまるのではと思い、厚労省の保険局保険課に問い合わせを行ったが、明確な回答はなく、各健康保険組合が判断することなので、そこに聞いてほしいと言われた。相談者は会社との関係が悪くなることを恐れ、RINKが健康保険組合に連絡することを望まなかったため、この問題をそれ以上追及することはできなかった。