2023年度オンライン相談事業の報告

実施期間: 2022年12月~2023年9月

実施方法: 毎月2回日曜日の13:00~18:00、LINE / ZOOMの3者通話による相談(予約制)
      その他、Facebook,LINEへの上記相談日以外の相談には随時対応

対応言語: ベトナム語、インドネシア語、フィリピノ語、日本語

相談総数: 170件(ベトナム語 112件、インドネシア語 36件、フィリピノ語 16件、日本語 6件、英語 1件)


相談者の国籍  ベトナム 116  インドネシア 37  フィリピン 17

相談者の性別  女性 54  男性 115  不明 1

相談者の住所地  関西 49  関東 38  中部 26

相談者の在留資格  技能実習 79  技術・人文知識・国際業務 35  特定技能 35  

相談内容  労働 129  在留資格 49


相談内容から

●技能実習生では、パワハラを受けているという相談や、正当な理由とは思われない理由で実質的な解雇をされている事例が目立った。先に会社、監理団体からもう雇えないと言われているにもかかわらず、退職届にサインさせられ自分から辞めたということになっていることが多く、帰国同意書にもサインさせられている事例があった。
 →技能実習法では、解雇された(退職した)実習生が実習の継続を希望する場合、会社、監理団体は転籍先探しに協力しなければならないとされているが、それが守られない事例が少なくない。

●特定技能や技術・人文知識・国際業務の労働者では、退職に伴い、会社から諸費用を請求(実質的に違約金の請求)されている事例が多かった。
 →会社を辞めさせないための違約金の取り決めは、労基法16条で禁止されているが、様々な名目で退職する労働者に費用を請求する会社が増えている。

●どの在留資格の労働者からも労働災害に関する相談が多く寄せられ、日本の労働災害補償の制度について正確な知識が不足していることがわかった。
 →技能実習生や特定技能労働者については、監理団体や登録支援機関の支援があるはずだが、充分な支援がされていないことが見てとれる。

●妊娠に関する相談や、日本での結婚に伴う在留資格の変更、日本で生まれた子どもの在留資格に関する相談が増えつつある。
 →技能実習生や特定技能労働者は家族とともに日本で暮らすことが想定されていないが、若年の外国人労働者が増加するなか、在留資格にかかわらず日本で家族として暮らしたいと望む人たちは、今後確実に増えてくると思われる。


実際に同行支援した事例

▶農業の技能実習生。1号から2号移行のための検定試験にも合格したが、在留期限直前に突然解雇通知を渡された。相談者は実習の継続を希望し、監理団体に転籍先を探すよう要求したが、監理団体は帰国するよう促した。相談者は外国人技能実習機構(OTIT)の母国語相談にも連絡したが、帰国するようにというアドバイスしかもらえなかった。
在留期限当日に入管局に同行支援を行い、短期滞在90日への在留資格変更申請を行った。申請は受付けられ、数週間後変更が認められた。在留が認められたことにより、相談者はOTITの支援を受けて転籍先を見つけることができ、その後新しい会社で実習を継続することができた。

▶通勤途上に交通事故に遭った特定技能労働者。保険会社との交渉は日本語でのコミュニケーションに限界がある相談者には難しく、会社や登録支援機関の支援も充分ではなかった。交通事故に詳しく外国人労働者の状況にも理解のある弁護士を紹介し、相談者は労働災害保険の申請や、後遺障害認定手続き、保険会社との交渉を弁護士に依頼することになった。

▶来日後1年未満で退職したため、諸費用を請求され、2か月分の給料が支払われなかった技術・人文知識・国際業務の労働者。会社の行為は、給料はまず労働者に全額を払わねばならないという労基法24条に違反していることから、労基署に同行支援を行い、会社の違反を申告した。監督官の指導により会社は給料の支払いに同意したが、一旦相談者に給料を渡して、その場で諸費用を請求するという方法で対応してきたため、最終的に相談者は泣き寝入りせざるをえなかった。

▶来日後就労予定だった派遣先が受け入れを中止したため、生活困窮に陥っていた技術・人文知識・国際業務の労働者。他団体と協力して、支援物資としてお米、カップ麺などを届けた。その後派遣元の会社は相談者に休業手当を支払うとともに、新しい派遣先を探すことを確約した。

*この事業は2024年度も(公財)パブリックリソース財団の移民・難民支援基金の助成を受けて継続します。