2023年10月 18 件(ベトナム語 12 件、インドネシア語 3 件、フィリピン語 3 件)
2023年11月 15 件(ベトナム語 12 件、インドネシア語 1 件、フィリピン語 2 件)
2023年12月 17 件(ベトナム語 12 件、インドネシア語 2 件、フィリピン語 3 件)
★ 3ヶ月の合計 50 件
★ 相談者の国籍:ベトナム 36、インドネシア 6、フィリピン 8
★ 相談者の性別:女性 21、男性 29
★ 相談者の住所地:関西 14、関東 11、中部 10 など
★ 相談者の在留資格:技能実習 30、特定技能 9、技術・人文知識・国際業務 8 など
★ 相談内容:労働 44、在留資格 15 など
*上記は、オンライン通話で相談を受けた件数だが、これ以外にFacebookのメッセージのやりとりで相談した件数が、3ヶ月で 30 件(ベトナム語)あった。
【相談事例から】
労働災害
・仕事中にけがをした。労災補償について基本的なことを知りたい。
・労働災害で入院中。会社が労災申請しているかどうかがわからない。
・労災の治療中。後遺障害が残りそうだが、何か補償があるのか。
・労災で治療中だが、技能実習の期間が満期になったので、監理団体から帰国して治療を継続するよう言われている。
・労災で入院中の技能実習生。会社から退院したら賃金を3ヶ月分100%支払うので、帰国するよう言われている。労災申請はされていないようだ。
*労働災害の相談は相変わらず多い。在留資格に関わらず、相談者本人に労災補償についての基本的な知識がない。申請は決して複雑なものではなく、通訳や助言などの支援があれば相談者自身でやれるはずだが、相談先に行きついていない外国人も少なくないと思われる。とくに技能実習生については、滞在期間が限られるなどの事情があり、治療途中で帰国した場合、その後の休業補償や障害補償の手続きが問題なくできているのか、気になるところである。
解雇
・2年目の技能実習生。会社と監理団体から、日本語ができない、仕事が覚えられないという理由で、もうこの会社にはいられないので退職届を書けと言われた。
・労災で手の指を負傷し職場復帰はしたが、重いものを持てないため、この工場には軽い仕事はないので退職するようにと言われた。
・1年目の技能実習生。日本人の上司が相談者の仕事のやり方が気に入らないと監理団体に告げたため、やめさせられそうになっている。
・1年目の技能実習生。仕事が遅いと叱られ、その後監理団体からこの会社での仕事は1ヶ月後に終わり、次の会社が見つからない時は帰国するしかないと言われた。
・前の会社を解雇され、その後次の会社と雇用契約を結んだが、数ヶ月待機させられたままである。監理団体からは技能実習機構からの許可が下りないので、在留期限がきたら帰国するしかないと説明されている。
*合理的な理由のない安易な解雇事案も途切れることがない。これらの相談のうち、2件については相談者が地元の労働組合に加入して、会社、監理団体に解雇撤回の申し入れを行った。その結果解雇は撤回され、相談者は実習を継続している。
また、最後の事例では、RINKのアドバイスを受けた相談者が技能実習機構に相談したところ、監理団体は機構に対し次の受入れ先がなかなか見つからないと説明していたことがわかった。機構の指導により監理団体はすぐに対応し、相談者は帰国せずに技能実習の再開を待つことができるようになった。相談者が監理団体の説明を信じて相談せずにいたら、実習継続の希望を実現することはできなかった。
この事例でもわかるように、技能実習生や特定技能労働者の在留資格の手続きは、ほぼ監理団体、登録支援機関が行なうため、手続きの現状が本人にはよくわからないという事態がうまれている。在留資格の手続きについて、監理団体などには本人への申請書類の提示や説明責任を義務付けるべきではないだろうか。
特定技能
・退職を考えている。雇用契約書には1ヶ月前に意思表示すればいいと書いてあるが、登録支援機関からは3ヶ月前に伝えないといけないと言われた。
・前の会社で働いていたときの、最後の半月分の賃金が未払いのままになっている。
・労働契約を締結する際、1年6ヶ月未満で自ら退職する場合、ビザ取得費用の12万円を会社に返還するという約定を交わさせられた。
・まだ入管からの在留資格の許可が出ていないのに、登録支援機関から人手がいるので働くように言われた。
*特定技能労働者では、退職の申し出時期や退職時の違約金規定などについて、問題のある事例があった。とくに最後の事例では、登録支援機関に順法精神がまったくないことが見てとれる。このような実態で労働者の権利が守られるのか大きな疑問を抱かざるをえない。
妊娠・出産
・特定技能1号で現在妊娠中。出産予定日の5ヶ月後に雇用契約と在留資格の期限がくる。今後産休と育休を取りたいが、会社は契約を更新するかどうかはわからないと言っている。
・現在育児休業中の技術者。もうすぐ契約期限(3か月契約の連続更新・継続約2年)が来るが、次は更新しないと言われた。
*日本で出産して子育てをしながら働き続けたいという外国人女性労働者も増えてきている。壁となるのが、在留資格と雇用形態だ。特定技能1号は最長の在留期間が1年で、在留期間満了時に雇用契約を打ち切られると、同じ在留資格で日本に残ること自体が難しくなってしまう。技術・人文知識・国際業務の在留資格の労働者も、最近は有期契約や派遣契約で働いている人が多くなっており、契約更新を拒否されることで、産休、育休を取得し続けることが難しくなっている。