オンライン相談(2024年1月~2024年3月)の報告

2024年1月  20件(ベトナム語 13件、インドネシア語 4件、フィリピン語 2件、日本語 1件)

2024年2月  21件(ベトナム語 14件、インドネシア語 3件、フィリピン語 3件、日本語 1件)

2024年3月  23件(ベトナム語 16件、インドネシア語 3件、フィリピン語 4件)


★ 3ヶ月の合計 64 件

★ 相談者の国籍:ベトナム 44、インドネシア 11、フィリピン 9

★ 相談者の性別:女性 19、男性 45

★ 相談者の住所地:関西 16、関東 4、中部 10 など

★ 相談者の在留資格:技能実習 35、特定技能 12、技術・人文知識・国際業務 7 など

★ 相談内容:労働 48、在留資格 28 など

*上記は、オンライン通話で相談を受けた件数だが、これ以外にFacebookのメッセージのやりとりで相談した件数が、3ヶ月で 30件近く (ベトナム語) あった。


【相談事例から】

技能実習生

・溶接の職種で技能実習するということだったが、実際には建設関係で足場や解体の仕事をしている。仕事がきついし、人間関係も良くないので転職したい。
・来日して5か月の建設技能実習生。毎日頭を殴られるので、監理団体は我慢しろと言うが移籍したい。
・技能実習先が来月倒産する。就労は今月末までだが、監理団体は自分で就労先を探せと言い、逃亡を強く勧めている。
・縫製の実習生。在留期限の1ヶ月前に、監理団体から今の会社では技能実習1号から2号への移行申請はしないと告げられた。移行のための試験には合格している。監理団体は転籍先を探すと言っているが、信用できない。実習を続けたいので助けてほしい。
・食品加工の技能実習生。1年目で技能検定試験には合格している。在留期限間際に急にこの会社で2号に移行はできなくなったと言われた。監理団体から別の会社を探すのは難しいので、特定技能の試験を受けてはどうかと言われている。また、解雇通知がほしいと言ったところ、自己退職すると書かれた見本を見せられ、これを自筆で書くように言われたが、まだ書いていない。
・来日5ヶ月の縫製の実習生。会社と監理団体から、日本語ができない、仕事の要領が悪いという理由で2週間後に帰国するようにと言われた。1ヶ月前くらいから自分だけ残業をさせてもらえていない。

*実習1年目での解雇の事例が目立った。解雇事案に対し、監理団体が実習継続の義務を果たそうとしない事例も散見された。


特定技能1号労働者

・アーク溶接の実習生として働き、同じ会社で特定技能1号に移行して働き続けたが、最近退職した。まだ次の働き先は見つかっていない。実は前の会社ではほとんど溶接の仕事はしていなかった。次の会社では溶接の経験がないことがわかって働けないのではないかと心配である。
・同じ会社で技能実習から特定技能1号に移行して働いている。本当の職種は金属プレスだが、ずっと溶接の仕事をさせられている。
・来日3ヶ月の特定技能1号労働者。賃金が以前技能実習生として就労していた時期よりも低く、転職したい。
・特定技能1号で働いている。寮の家電などの使用料を決められていて、先輩たちが途中で辞めるときに、一定の費用を払わされている。自分が辞めるときにそうならないようにするにはどうすればいいか。
・建設の特定技能1号労働者。来日3ヵ月だが、退職を申し入れたところ、「在留資格申請等の為、50万円かかりましたので、私は1年未満で退職するということで損害金40万円を会社に支払する」という同意書の署名を強いられている。内訳も渡された。
・特定技能1号の農業で働いていたが、介護の特定技能に移るため、まだ入管の許可が下りていないのに会社に言われて働いた(資格外就労になって入管法違反である)。そこは辞めて今別の介護事業所で在留資格の手続き中である。前の事業所で1ヶ月と4日間の賃金が未払いになっている。給料日に受け取りに行ったところ、アパートの頭金が8万円もかかったなどと言われ支払ってもらえなかった。

*特定技能の労働者が増加しているなか、相談も確実に増えている。
技能実習から同一職種の特定技能への移行申請は、試験ルートに比べて認められやすくなっている。しかし、相談事例のように実際には違う職種の仕事をさせられている事例も多く、そんな場合は実習時と異なる会社で働くことが事実上難しくなるため、同じ会社で継続して働くしかなくなってしまう。制度の不正運用によって労働者の転職の自由が事実上奪われている。
退職に際して会社が諸費用を請求する事例は、在留資格にかかわらず後を絶たない。たいていは最後の給与から天引きされる。天引き自体が労基法違反であるが、労基署に申告しても会社が支払いに応じず、労働者が泣き寝入りするしかない結果となっている。


妊娠・出産

・特定技能1号で働いていたが、帰国して出産した。帰国前に会社は雇用を継続し、産休、育休をとれると言っていた。しかし、母国にいる間に突然メールで雇用を継続しないと言ってきた。
・2025年まで3年間特定技能1号の雇用契約を結んでいる。今妊娠中で、飛行機に搭乗できるぎりぎりまで働いて帰国して出産するつもりである。会社に妊娠を告げたところ辞めろとはいわれなかったが、やんわりと危ないから辞めてはどうかと言われた。実際にはそんなに危険な仕事ではない。在留期間更新が出産予定日の翌月なので、会社が更新に協力してくれるかどうか心配している。
・特定技能1号で妊娠5ヶ月。帰国して出産し、再来日して働き続けたいと会社に伝えたところ、会社と登録支援機関から帰国前に辞めるように、在留期間更新には協力しないと言われた。雇用契約は2026年まで3年間で自動更新するとなっている。出産予定日と在留期限は同じ月である。

*特定技能1号の女性労働者から妊娠・出産に関する相談が続いている。労働契約は3年間でも、在留期間が1年ごとの更新なので、少なくない会社が、在留期間更新の手続きをしないことによって、事実上労働関係法規で禁止されている妊娠・出産を理由とした不当な解雇を行なっている。このような相談事例について、在留期間更新がされ、労働法の規定通り雇用が継続されるよう、労働組合とも連携して取り組んでいく予定である。